Ristorante DANLOオーナー
松本 武/明子さん
東京のイタリア料理店で出会ったご夫婦は、2005年に諏訪市にてイタリア田舎料理DANLOを開業。2021年、コースでイタリアンを提供するリストランテとして原村に移転。メニューは、季節の素材や明子さんが採ってきたキノコをシェフが感性で料理するシェフのおすすめのみ。その一皿との出会いはいつも一期一会だ。
キノコの季節は秋!と思っていませんか??見たこともないようなキノコたちを前に、「実はキノコがおすすめなのは、様々な種類が採れる夏なんです」と、お話してくれたのは、Ristorante DANLOのマダム松本明子さん。山地が多い長野県は日本の中でもキノコがよく採れるエリア。せっかくそんな長野県や八ヶ岳エリアを訪れるなら、秋の松茸だけじゃ、もったいない!Ristorante DANLOで楽しめるキノコの魅力と味わいを、Ristorante DANLOのオーナーご夫妻にお聞きしました。
諏訪南ICから約4.5km、八ヶ岳ズームラインをまっすぐ車で6分ほど行ったところにあるRistorante DANLO。提供しているのは、ランチ、ディナーともに、シェフおすすめのコースのみ。シェフが料理人としての感性で季節の素材を料理します。2021年に、それまで16年営んだ諏訪市内のお店から現在の場所に移転し、ご予約のみのリストランテスタイルにて営業をしています。
「メニューはその時に入手できる素材を見ながら、前日に2人で決めます。完全予約制なので、予約してくださったお客様のお食事やお酒の楽しみ方も思い描きながら、それぞれに合わせたメニューを考えます。」 そんなRistorante DANLOが訪れるお客様を魅了し、フーディ(食通)をも惹きつけてやまないのが、ご夫妻が採ってきたキノコを使ったお料理の品々です。
お二人がキノコに魅了されるきっかけとなったのが、
地元の産直品を販売する「たてしな自由農園」に
並べられたキノコ。
「たてしな自由農園で、どう見てもポルチーニ茸に見えるキノコを見つけたんです。八ヶ岳でもハナイグチ(ジコボウ)などが採れるのは以前から知っていましたが、ポルチーニのような洋食にも使われるキノコが採れるなんて、知りませんでした。それで、たてしな自由農園にいたスタッフを質問攻めにしていたら、この辺りで採れるキノコについて、学ぶ『信州きのこの会』に誘っていただいて。そこでキノコの勉強をするようになったんです。」
実は、シェフの武さんには、忘れられない衝撃の味がありました。それが、修行時代に食べたポルチーニ茸のリゾット。その衝撃の味を、地元で採れた素材で再現できたなら…!!それが、松本さんご夫婦がキノコの魅力にハマっていったきっかけでした。
「夏から秋にかけては、だいたい週4、5日は朝、キノコを採りに出かけます」という明子さん。
「雨がざっと降った翌日などは、キノコの成長が早いし、たくさん生えるので、もう、落ち着いていられなくて、採りに行かずにはいられないんです。岐阜や山梨の方まで、何時間かかけて採りに行くこともあります。全然採れなくて、空振り…ということもしばしばなんですけどね。」
キノコというと一般的には「秋の味覚」というイメージが強いのですが、明子さんによると、様々なキノコが採れる7月から10月がおすすめなのだそう。ちょうどその週(取材は2024年7月末)に採れたキノコを見せていただくと、見たことのないキノコが山盛り!その中でもおすすめのキノコについて、明子さんに聞いてみました。
夏は豊富な種類のキノコが採れる。
武さんが切っているのは、ミヤマイロガワリ
触れると青→黒に色が変わる珍しいキノコ
ハナビラタケ
「ハナビラタケはしゃきしゃきした食感が特徴。香りが良く、魚介とも合うのでマリネなど、前菜向きですね。天然ものは幻のキノコと言われるくらい、希少なので、見つけた時は一番嬉しいと言っても過言ではないキノコですね。」
ポルチーニ茸
「ポルチーニ茸はやはりリゾットがおすすめ。Ristorante DANLOではシェフが衝撃を受けたというリゾットをベースに考案したオリジナルレシピでご提供します。干して香りを出したポルチーニの戻し汁と、生のポルチーニをソテーしたものを合わせて、香りと食感をどちらも楽しんでいただける一品です。」
タマゴダケ
「卵のような白い球体から生えるタマゴタケは生が美味しいので、おすすめはサラダ。カマンベールチーズのような白カビ系の香りがします。卵、チーズやクリームなどの乳製品との相性が良いのでサラダだけでなく、卵料理やクリーム系パスタなど、様々な料理に登場します。」
その日に入手できる素材をシェフの感性で料理して提供するRistorante DANLOですが、前日には予約の入っているお客様を確認して、リピーターのお客様なら前回提供したメニューと同じものを出さないように注意を払っているのだと言います。また、お酒を楽しむお客様なのか、お料理をメインに楽しみたいお客様なのか、どういったメンバーで来店されるのかなど、お客様のニーズに合わせて、きめ細やかにメニューを調整するのだそうです。
「もちろん、大変ではあるのですが、楽しさもあるんです。今まで以上に、召し上がるお客様の顔を想像して、その方のために作ることができるようになりましたし、毎日が挑戦。日々、腕を試されているような心地よいプレッシャーとやりがいがありますね。」
また、Ristorante DANLOでは、生のキノコがある季節には、できるだけ料理する前のキノコをお客様にお見せしてから、お料理を提供するようにしているのだそう。
「料理してしまうと原型がわからなくなってしまうので、まずはどんな形や色のキノコか、料理前のものをお見せするようにしています。元の状態を知っていただいて、それを楽しんでいただきたいんです。
『これ、あなたが採ってきたの?』とびっくりしていただけるこの時間は、私にとっても、自慢のキノコを披露する時間なので、とても楽しいんです。」
お酒が好きな方にとっては、お料理をどんなお酒とペアリングするかも大事なポイントではないでしょうか?
「地元のワインもおすすめするのですが、おすすめは諏訪エリアの蔵で醸す日本酒。最近ではフランスなどでも日本酒が人気でフレンチに日本酒をペアリングすることも増えていますよね。ふわっと色々な料理を受け止めてくれる日本酒はイタリアンとの相性も良いので、よくおすすめします。観光の方でしたら、帰りに酒蔵を巡ってお土産に買って帰っていただけるのも、思い出になって良いのではと思います。」
おすすめ宿泊施設
ココットビレッジ原村
1日1組限定。目の前に自然菜園が広がる小さなペンション。
【 住所 】〒391-0100 長野県諏訪郡原村 16267-489
【 電話 】0266-75-3709